研究内容

ナノフォトニクス

超広帯域共鳴波長可変ナノ光ファイバ共振器へのナノ発光体の高効率結合

  • [1] A. W. Schell, H. Takashima, S. Kamioka, Y. Oe, M. Fujiwara, O. Benson and S. Takeuchi, "Highly efficient coupling of nanolight emitters to a ultra-wide tunable nanofiber cavity", Scientific Reports, 5, 9619 (2015).

NFBC
図1.実現したNFBC。a. 模式図 b. 走査イオン顕微鏡(SIM)像

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図2.単一発光体からの発光スペクトル

    近年、盗聴不可能な通信を実現する量子暗号通信や、光子を用いた量子コンピュータの実現に向けた研究が進められています。これらを実現する上で重要な課題のひとつが、人工原子などの単一発光体から発生した光子を、光子の通路である単一モード光ファイバへと結合することです。そこで、我々は、単一モード光ファイバの一部を直径300 nmまで引き延ばしたナノ光ファイバ上に、集束イオンビーム装置を用いて周期構造を作製することで、共振器構造を組込んだナノ光ファイバブラッグ共振器(NFBC)を開発しました(図1)[1]。このNFBCは、光ファイバに加える張力を調整することで、可視光領域で共振器の共鳴波長を20 nm以上制御できます。また、NFBCの共振器部分に、単一の量子ドットを付着させると、量子ドットの発光を増強(今回の場合2.7倍)させることもできます(図2)。この発光増強によって、量子ドットから発生した光を、50%以上の効率で単一モード光ファイバに結合させることが可能になると考えられます。本研究は、量子暗号通信や光量子コンピュータなどの実現にむけた最大のボトルネックである、100%に近い効率で光子を発生する、オンデマンド単一光子源の実現に向けた大きなステップになると考えられます。

    ナノファイバに結合されたナノ粒子中の複合欠陥中心を用いた量子スピン光磁気共鳴検出

  • [1] T. Schröder, M. Fujiwara, T. Noda, H-. Q. Zhao, O. Benson, and S. Takeuchi, "A nanodiamond-tapered fiber system with high single-mode coupling efficiency", Opt. Express 20(10), 10490-10497 (2012).
  • [2] M. Fujiwara, K. Yoshida, T. Noda, H. Takashima, A. W Schell, N. Mizuochi and S. Takeuchi, "Manipulation of single nanodiamonds to ultrathin fiber-taper nanofibers and control of NV-spin states toward fiber-integrated λ-systems", Nanotechnology, 27, 45 (2016).

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図1. 単一NV中心を含むナノダイヤモンドのナノファイバ結合操作と実験装置系

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図2.ナノファイバと結合したナノダイヤモンド中の単一のNV中心を用いた光磁気共鳴検出

    固体中の欠陥が持つ光子やスピンは、量子情報処理や量子センシングのリソースとして有用であり盛んに研究が行われています。特に、ダイヤモンド中の窒素複合欠陥(Nitrogen Vacancy center、NV中心)は、常温下での単一光子発生やスピン操作特性が良いことが知られています。また、バルクの研究が先行していますが、ナノ粒子から発生した光子を効率的に検出するためのナノファイバ技術の向上に伴い、ナノ粒子を利用した研究が活発化しています。我々の研究室でも、ナノファイバに結合したナノダイヤモンド粒子中の単一NV中心から発生した光子の検出に2012年に成功しました [1]。また、2016年には、ナノファイバに結合したナノダイヤモンド中の単一NV中心が持つスピンの光磁気共鳴検出に成功しました ([2]、図1と図2)。

    ナノファイバに結合された2次元機能性薄膜中の欠陥からの非古典光検出

  • [1] A. W. Schell, T. T. Tran, H. Takashima, S. Takeuchi, and I. Aharonovich, "Non-linear excitation of quantum emitters in hexagonal boron nitride multiplayers," APL Photonics, 1, 091302 (2016)
  • [2] A. W. Schell, H. Takashima, T. T. Tran, I. Aharonovich, and S. Takeuchi, "Coupling Quantum Emitters in 2D Materials with Tapered Fibers," ACS Photonics, 2017, 4 (4), pp 761-767

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図1. ナノファイバと結合した2次元薄膜hBNフレーク中の欠陥からの単一光子発光

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図2.2次元薄膜hBNナノフレーク中の欠陥の単一光子発光特性

    最近、hexagonal boron nitride (hBN)からなる2次元機能性薄膜中の欠陥が、NV中心などとは異なりゼロフォノン線が細いなどの特徴から着目されています。我々の研究室では、他に先駆けてこのhBNナノフレークをナノファイバに結合させ発生させた単一光子の観測に成功しました ([1、2]、図1)。図2は、光波長が666nmの単一光子発生を観測したときの結果です。現在、上記のナノ光ファイバブラッグ共振器(NFBC)とナノ粒子や2次元機能性薄膜からなるナノフレークを結合させ光検出効率を向上するための研究を推進し、光量子情報処理や量子センシングへの活用を目指しています。

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